第381回
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  お正月と初詣で
文 郷土史家 佐々木 一

 私たちの生活の中での年中行事は、春に始まり夏、秋、冬と四季それぞれの季節の移り変わりに行事を行い、折目、切れ目をつけて、変わりなき生活に活力をつけております。
 数ある年中行事の中でも、お正月と、お盆は、敬語の「お」の字をつけております。それは、正月は歳徳神(さいとくじん)をはじめ、よろずの神々を迎えまつるのが正月行事の中心になっているからです。歳徳神とは、その年の福徳をつかさどる神をいいます。一方お盆の方は、身近な近親の先祖が一年に一度なつかしい我が家に戻って来る、という慰霊の仏教的な行事であります。
 お正月を「晴れの日」というのは、古い年が行き、新しい年が来る際に、身も心も汚れたものを振い落して、新しい年を迎えれば、なにもかも晴々として奮い立つことからそういわれるようになりました。そしてお正月に身につけるものが晴着であります。晴着は、男性と女性、大人と子どもは違いますが、普段着も改めて、清潔なものを着ます。
 あいさつの言葉も、一夜明けて元旦の朝の言葉は、居ずまいを正して「あけましておめでとう」
この言葉が晴れのことばで、上下に丁寧なことばをつけて言う人もあります。
 そして、「晴れの膳」。昔は普段からお膳で食事をしていましたが、今もお膳はなくてもお母さんが作り誂(あつら)えたお節ち料理は、晴れのお膳であります。この膳には祝い酒の「お屠蘇」がつきます。お屠蘇は邪気をはらい、不老長寿の薬といわれております。晴れの膳の料理は決まっていました。農家では、「たつくり」が必ず入っていて、これは田作りの意味でした。たつくりに煮豆(黒豆)、そして数の子、この三品は晴れのお膳に欠くことの出来ない品でした。晴れの膳を歌によむと、
「豆で田作り数々ござる」
 まめは健康なこと、数の子はお米が沢山とれるようにとの祈りが込められております。
 また、お正月に欠くことのできない食べ物といえばお餅です。お餅は、ご馳走のうちでも最高のもので、まず神棚、仏壇にも丸い鏡餅をお供えします。元旦の朝頂く餅は雑煮(ぞうに)餅で、北勢地方は角餅でした。すまし汁の中に角の餅を入れて青い真菜を浮かばせるのがお正月の晴れの食事です。このお餅を煮るのはかまどの時代では大豆のカラ、豆ガラで煮ることに決まっていました。
 お正月は神社やお寺へ初詣でに参ります。まずはそれぞれの氏神様にお参りして、その後、歳徳神を詣でます。福徳の神をといえば「七福神」がよく知られていますが、ここで七福神をご紹介します。

  • 布袋尊
    弥勒菩薩の化身といわれ、杖をつき布袋を肩に破れ布を身にまとい、町にでてものを乞う、唐代の実在の人。
  • 弁財天
    弁舌と音楽とで仏法を説き、インドの河神で最も尊崇された女神。日本では水の神。
  • 寿老人
    中国の宋の哲宗の時代、長頭の老人で鹿を供に連れ、長寿の仁といわれていた。
  • 毘沙門天
    毘沙はインドの農業、牧畜、商業、工業の、生産に従事していた人たちを指し、宋の神、働く人の神。また仏教では釈尊の弟子中多くを聴聞した阿難を指し多聞天ともよぶ。
  • 福禄寿
    短身で長頭、ひげ多く経巻を結びつけた杖をつく。いつも鶴を従えていた。
  • 大黒天
    左肩に大きい袋をかつぎ右手に打出の小槌、米俵をふまえる。出雲の大国主命。
  • 恵比須
    兵庫県西宮神社の祭神蛭子の命、海上漁業と商売繁昌の神、恵比須顔。
菰野の智福寺にある布袋尊
菰野の智福寺にある布袋尊