感染症による未曽有の影響

町内の子どもたちの感染予防のために 国にさまざまな影響をもたらした新型コロナウイルス。日本国内でも感染者が1・7万人、死者が900人を超え、長期にわたり厳しい状況が続いています。4月7日に首都圏などに「緊急事態宣言」が発出され、4月16日に全国に拡大されたことをうけ、町内でもほぼ全ての公共施設の使用を停止し、小中学校を休校、役場本庁でも分散勤務を実施するなど多くの対応を迫られました。町民の皆さんにも不要不急の外出や県外への往来を避けるようお願いし、生活に大きく支障をきたす自粛を強いることとなりました。皆さんにはさまざまな部分でご不便を感じることもあったかとは思いますが、多くのご協力によって町内での集団感染等はなく、現時点を迎えられています。

今までの「暮らし」を取り戻す

染拡大が一旦は収まったことで5月14日、三重県を含む39県で緊急事態宣言が解除され、菰野町での自粛生活も徐々に緩和されてきました。しかし、約2か月間の自粛期間の影響がすぐに元通りというわけにはいきません。マスクの着用など、日常の生活の上で気にすべきことが多く残っています。このような状況の中で今までの暮らしをどのように取り戻していけばいいのでしょうか。誰しもが不安に感じています。そして、発生が危惧されている感染症拡大の第二波の存在――。それらに対し、どう備えていけばいいのでしょうか。今月号では、新型コロナウイルスをめぐるこれまでの動向とともに、これからの対策についてお伝えします。

これからの「新しい生活様式」

急事態宣言解除にあわせて政府が発表した「新しい生活様式」。この「新しい生活様式」を心がけることが、これからの生活の中で必要になってきます。身体的距離の確保やマスクの着用、手洗いにはじまり、「買い物時にレジへ並ぶときは前後にスペースをもうける」、「公共交通乗車時には会話は控えめに」といった具体的な生活スタイルにまで言及されています。さらに「新しい生活様式」を踏まえて厚生労働省は『人との接触を8割減らす、10のポイント』を発表しており、より具体的に気をつけるべきポイントを示しています。

感染症 地域医療の最前線

の基幹病院である三重北医療センター菰野厚生病院でも感染管理認定看護師2名が中心となり、感染対策が徹底されています。通常2か所設けている病院の玄関を1か所に集約し、来院者全員に手指の消毒とサーモグラフィーでの体温測定を実施しています。
 体温が37・0度以上と測定された方は別室へ誘導して問診を行い、もし新型コロナウイルス感染症が疑われる場合は、特別感染症室で専門の看護師が再度問診を行います。特別感染症室は、使用するパソコンや聴診器などを患者ごとに全て消毒し、パーテーションタイプの空気清浄機2台を稼働させ、常に空気が新鮮な状態であるように保たれています。
 全ては院内感染を起こさず、もしもの感染発生に備えるため。最前線で対策が行われています。

子どもたちの姿が消えた学校

校の教育現場においても新型コロナウイルスの影響は大きく、町では感染拡大を防止するために4月15日から小中学校を休校としました。休校は最終的に5月17日まで継続し、約1か月超の長期にわたり、学校から子どもの姿がなくなりました。休校中もICTを活用したオンライン学習の一部導入や教員が作成した宿題を配付するなどして学習面を補っておりましたが、多方面から学校の早期再開が望まれていました。
 5月14日、三重県の緊急事態宣言が解除されたことで県内の休校が徐々に解除され、町では5月18日から地区別の分散登校を実施しました。そして、5月25日から町内の小中学校の一斉登校を約1か月半ぶりに再開し、学校に元気な子どもたちの姿が戻ってきました。

子どもたちを守るための対策

開されたとはいえ、子どもたちへの感染症対策は怠ることはできません。全校児童生徒と教員に配付したフェイスシールドやマスクの着用をうまく使い分けることで、感染対策をしながら学習指導の充実を図っています。また、手洗いの指導においても、小学校低学年の児童でも実践しやすいよう「手を洗っている間にハッピーバースデーの曲を2回歌えば30秒間の手洗いが行える」、「手洗いで順番を待つ間もソーシャルディスタンスを保つようにラインの後ろで順番を待つ」など細かな配慮が行われています。調理実習や楽器を吹くといった感染のおそれがある授業はしばらく振り替えられ、給食を食べる時も通常の向かい合って食べる形式ではなく、それぞれ前を向いてできる限り会話をせずに食べるようにしています。子どもたちが帰った放課後には、使用した机や椅子、教材などを教員が丁寧に消毒しています。

 そして、約1か月半に及ぶ休校期間に行えなかった授業を今後どう取り戻していくか。単純な詰め込み授業にしたくない。行事の精選や工夫で子どもたちに大切な思い出を残してあげたい。そんな先生たちの思いから、この課題を乗り越えるためにさまざまな検討が続けられています。授業で関連のある単元をつなげたり、夏休み期間を8月1日から8月23日までに短縮したりすることで授業時間を確保し、今まで以上に効率的な学習ができるよう見直しが進められています

新型コロナウイルスから学ぶ

回の感染症対策に際して、各学校ではウイルスに対する感染回避能力を高める学習や感染症に起因する差別や偏見をしないような人権学習を取り入れています。家庭でも「毎朝、体温を測る」「帰宅したらまず手洗いを行う」といった心がけを今回の感染症対策で子どもたちが習慣化できれば、今後のインフルエンザの流行などを防ぐことにつながります。また、感染した方や医療従事者に対して差別や偏見の目を向けることや目に見えないウイルスを恐れて、さまざまな事柄に対して攻撃的になり他者を傷つけることがないよう児童生徒の発達段階に応じた人権学習も行っています。 

中学校の部活動でも対策

学校の部活動も6月1日から再開し、運動部では「ボールやグローブといった用具類は活動後に消毒する」、「接触するようなプレーはなるべく避ける」など配慮した活動が始まりました。吹奏楽部などの文化部でも「使用した楽器は触れた部分を除菌シートで拭き取る」、「一部屋に大人数で集まるような活動を避ける」といった配慮のもと、活動を行っています。
 運動部、文化部ともに夏に開催が予定されていた多くの大会が今年度は感染症対策のため中止となりました。何を目標に活動すればいいのか。今までどおりの部活動が許されるのはいつなのか。そのような不安を抱えながら、生徒たちはそれぞれに目標を見出し、仲間とともに部活動に取り組みはじめました。

繁忙期に訪れた感染症の影響

光のまちとして春から夏にかけて多くの登山客や観光客を迎える菰野町。ですが、今年は町内各地でにぎわう様子はほとんどなく、寂しい初夏となりました。
 御在所ロープウエイやパラミタミュージアムでは3月末頃から観光客の姿が少なくなり、4月に全国で緊急事態宣言が発出されてからは、県をまたぐ往来を自粛するよう求められたこともあり、訪れる人の姿は極端に少なくなりました。来場者の安全を確保する観点も含め、予定していたイベントを中止し、最終的にはどちらの施設も休業、休館という判断にならざるを得ませんでした。  

 湯の山温泉街の宿泊施設でも同様に、2月末に政府が新型コロナウイルス感染症対策の基本方針を発表した前後から宿泊のキャンセルが相次ぎ、施設によっては宿泊者数が4月は例年の1割以下、5月はほぼ0となるなど激減しました。そのため、利用者や従業員の感染症拡大を防ぎ、安全を最優先とするため、ほとんどの宿泊施設が休業することを決めました。
 これらの施設が休業、休館となった時期。それは、一年間の中でも多くの観光客が訪れるゴールデンウイーク前後でした。この期間に休業を強いられたことは、観光事業者にとって大きすぎる損失でした。

不安を抱いた状態での再開

急事態宣言解除後も自粛や他県からの来県が緩和されたとはいえ、復調の兆しはなかなか見えません。緊急事態宣言が解除されて約半月が経過した6月初旬時点でも観光客や旅館の利用者は、例年の2、3割程度という状況です。各施設で利用者の体温測定や消毒液の設置、身体的距離の確保などの必要な対策に加え、営業時間の短縮などが図られていますが、利用者の数が大きく増加する状況には至っていません。「いったいこんな状況がいつまで続くのか」、「さまざまな工夫をしても、まずは人に来てもらわなければどうにもならない」、観光事業者のほとんどがそのような窮状を語っていました。不安を抱きながら、新型コロナウイルス感染症の影響と向き合っています。

「まずは人に来て
       もらうこと」

今回の休業期間を転機とする

業期間やその後の厳しい状況を転機とする観光事業者もいます。
 宿泊施設の一部では、これまで訪れた利用者をフロントから客室までスタッフが同行して案内していましたが、荷物を運んだりエレベーターに同乗する際に利用者との身体的距離を保つことが難しいため、複数のスタッフで対応する、もしくは客室まで案内を行わないよう接客方式を見直しました。他にも「客室には事前に布団を敷いておく」、「料理は宴会場ではなく客室で」、「料理の説明も口頭ではなく紙に書いたお品書きで」と従来の接客方式から対応を簡素化し、限られた従業員数で円滑に業務を行えるよう改めた宿泊施設もあります。どうしても客室の消毒作業などに人員が必要なため、従業員の負担軽減や不要な経費削減を目指し、一連の感染症による影響を転機にしようとしています。宿泊施設以外でも休業期間を企画の検討や新しいグッズを開発する期間として利用するなど、新型コロナウイルス感染症の影響を打破する取り組みが検討され続けています。

今だからこそ地元を楽しむ

内の観光事業者を対象に6月19日、今後の観光戦略を検討する勉強会が菰野町観光協会主催で開催されました。旅先で仕事をする新しい旅行スタイル「ワーケーション」や電動スクーターなどを観光周遊に取り入れる新モビリティの導入事例が紹介されました。そして、海外旅行など遠距離移動を伴う旅行が制限されている状況を逆手に、近場の小旅行から今後利用者が増加することを見込み、施設内での3密回避をわかりやすく伝えることや、感染症対策を万全に行っていること、観光地で利用者を分散させ感染リスクを軽減させることなどの戦略が提案されました。
 緊急事態宣言が解除されたとはいえ、まだ生活の中に自粛や遠方への移動制限の感覚が残る今年の夏。こんな時だからこそ、町内の宿泊施設に日帰り入浴してみたり、地元を観光してみてはいかがですか。今年の夏は、菰野で観光する。遠出しない気軽な地元旅行――町民の皆さん、お待ちしています。

感染症と風水害による複合災害

型コロナウイルス感染症のおそれがある中、これからの季節、豪雨や台風などから風水害が起こる可能性が高まってきます。特に危惧されているのが、新型コロナウイルス感染症とともに豪雨や台風の被害が発生することによって双方の対策を同時に行わなければならない複合災害となることです。さらに、避難所では人が密集して生活を行うことから、感染拡大の可能性が高まります。そのため、感染症対策に備えて、改めて自らの災害時における避難行動などを見直しておくことが大切です。「近頃、災害は起きないし、新型コロナウイルス感染者も町内にはいないから大丈夫」と安心するのではなく、最悪の事態を想定することが自分の命を守ることにつながります。これから発生するかもしれない複合災害への対策を町全体で備えていかなければなりません。

感染症第二波と災害への備え

生が危惧されている感染症拡大の第二波ですが、いつ発生するかは誰にもわかりません。湿度や紫外線の影響で夏にかけてウイルスが弱まると言われていますが、ウイルスは現在も活動を続けています。そのため、現時点で感染が抑えられているこの期間を準備期間とすることが有効になってきます。感染が拡大している時に、災害が起きたとしてもなるべく人との接触を避けられるように、改めて自分たちの身は自分たちで守る「自助」の大切さを見直すことが必要です。これまでの生活を徐々に取り戻しつつ、闇雲にではなくウイルスへの対策知識をもって、到来するであろう感染症拡大の第二波と災害への備えを拡充していくことが大切です。

 
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