全てはこのまちを守るため

在、菰野町消防本部に務める職員は56人。これは、三重県内にある消防の中で決して多い人数ではありません。ですが、3交替、24時間体制で絶えず救急や火災などへ出動し、どんな有事にでも対応できるよう備えています。
 全ては菰野町で暮らす人々の生命、生活。そして、菰野町にある建物や財産―――それらを守るため。訓練や出動によって培われた消防の活動に今月号ではスポットライトをあててみたいと思います。

通報を集約して指令を発信

如、鳴り響く出動指令。署員は指令を聞き取り、現場へ急行します。平成28年に開設された三重北消防指令センターは、桑名市や四日市市、菰野町などで発信された全ての119番通報を受信し、各市町の消防署へ指令を行います。センターでは、通常8人体制で通報の対応にあたっており、管轄内の情報を広域的に扱うことで市町境界付近への出動や応援が必要な大規模火災が発生した際に隣接市町から応援が行えるよう連携が図られています。三重北消防指令センターに入る通報件数は一日平均約100件。24時間、いつ入るかわからない通報に万全を期し、チームで連携して各市町の消防署へ指令業務を行っています。

自らの身体生命を守る

署員の身体と生命を守る装備

防署員の活動は、火災、救急、救助と3つに大別することができ、特に火災が発生している現場などでは、消火活動や救助活動に際して署員の身体や生命自体も危ぶまれる状況であることが多々あります。そのような状況で署員の身体や生命を守るため効果を発揮するのが現場に臨むために着装する装備です。
 火災発生時は防火衣を着装して出動します。防火衣は、消防庁が定める「消防隊員個人防火設備に係るガイドライン」の耐炎・耐熱性能、機械的強度性能、防水性や耐化学薬品性などの基準を満たしたものを配備しています。防火衣の重量はヘルメットや安全帯を含めると約10キログラムにもなり、さらに空気呼吸器を背負うと合計20キログラムを超える装備となります。緊急性を要する現場で動きやすいとは言えない格好ではありますが、署員の身体や生命を守るために欠かすことができない重装備であり、訓練時でも消火活動を行う署員は、防火衣の着装を行い、実際の火災時にも普段と変わらない動きが出来るよう訓練を重ねています。
 救急出動時には血液の付着などのおそれがあるため、感染防止着を着用し活動します。特に現在は、感染症対策としてゴーグルと感染防止着を出動時に着用しており、病原菌による不意の感染などを防ぐよう配慮しています。
 救助出動時や山岳救助時には防護対策が施された救助服を着用し、不意の裂傷などから署員の身を守っています。
 いずれの装備も季節を問わず、どのような出動の際でも着装しており、危険な現場での署員の活動を心強く支えています。

あらゆる場面に対応するため

日、消防署では訓練を行っていますが、実際の事故や火災現場で訓練と全く同じ状況ということは有り得ません。そのため、消防署ではあらゆる場面を想定して訓練を行っています。
 訓練に臨む署員の表情は真剣そのもの。危険な活動状況を想定して高所などでの活動を伴うため、訓練とは言え一瞬の気の緩みもミスも許されません。
 現場ではサイレンや喧騒により声が通りにくくなることを想定し、指示役である隊長は小型のメガホンを使って怒号にも近い指示を署員に飛ばします。1秒でも早く火災を消し止め、1秒でも早く要救助者を助け出すため。隊長の指示のもと、ひとつひとつの動作を確認しながら署員それぞれが確実に役割を把握し、迅速な動きで消火活動や救助活動を進めていきます。その一連の動きは、まるでスポーツ選手の卓越されたチームプレーを見ているよう。日々の訓練の積み重ねによって培われた動作や連携が、このまちのもしもの事態に備える糧となっています。

関連機関との連携も踏まえて

規模な火災や地震などが発生した場合、あらゆる機関との連携が不可欠になってきますが、その際に現場対応の中心となるのも菰野町消防本部です。役場などの行政機関はもちろん、警察や関連企業、そして地元住民の皆さんとの連携を図らなければ対応が難しい場面が多くあります。中でも特に強固な連携を図らなければならない組織が菰野町消防団です。
 菰野町消防本部にいる職員は56人。大規模な火災や災害が発生した場合、どうしても人員や車両が足りません。消防団は地域に根差した防災組織でそれぞれの分団で消防車両を所有しており、そのような窮地を支えるのが消防団の役割でもあります。消防本部と消防団は1年に数回、特別消防訓練などを実施し、大規模火災や大規模災害などを想定して合同の訓練を行っています。地域との支えあいと連携でこのまちを守っています。

冬到来 もしもの火災に備える

になると空気が乾燥し、火災が発生しやすくなる傾向があります。そのような火災発生に対する危険性をお伝えし、火災を発生させないよう予防することも菰野町消防本部の役割のひとつです。

 平成30年の全国で発生した火災の出火原因では、1位が「たばこ」、2位が「コンロ」でしたが、三重県では1位が「たき火」で屋外での焼却行為が火災原因となるケースが多くなっています。菰野町でも屋外での焼却行為による枯草火災などが冬季に多発しており、建物や車両に燃え移り延焼した事例もあります。住民の皆さんには火災の危険性を充分に理解し、屋外での焼却行為に注意してもらう必要があります。
 また、近年では電気を起因とする火災が増加しており、家電を使用する位置が不適切であったり、使用方法の誤りから出火に繋がるケースが多く発生しています。全国的には、電気ストーブによる火災が最も多く、石油ストーブと違って炎が出ないことからくる安心感から設置位置を誤り、出火に繋がるケースがあります。その他にはコンセントとプラグの隙間にホコリが溜まって発火するトラッキング現象やショートによる火災、リチウムイオン電池の過充電による火災も発生しています。今や生活に欠かせない電気器具ですが誤った使い方をすると火災の原因となるので注意が必要です。

各家庭に住宅用火災警報器を

成30年の全国の火災件数は3万8000件近くあり、1日あたり104件の火災が発生しています。さらに、このうち2万件以上が建物火災であり、火災による死者は1427人、負傷者は6114人の被害が出ています。特に住宅火災で亡くなった方の中で65歳以上の高齢者は668人と全体の約70%を占め、死者が発生した火災の出火時刻は22時~翌朝4時までの夜間が最も多くなっています。

 このような就寝時に火災に巻き込まれて被害に遭ったケースに対する有効な手立てのひとつが、「住宅用火災警報器」の設置です。住宅用火災警報器は、平成23年に全ての住宅に設置が義務付けられており、火災が起きた場合に煙や熱などを感知して大きな音で火災の発生を居住者に知らせます。消防署では、署員が高齢者宅を訪問し、ガス器具や消火器の取り扱いを説明するとともに、住宅用火災警報器の取り付け確認を行う防火訪問を実施しており、まだ設置されていない方は、早急な取り付けをお願いしたいと思います。
 また、住宅用火災警報器の取り付けが既に済んでいる住宅でも、設置から10年が経過すると、電池切れや機器不良などで作動しない場合があります。住宅用火災警報器は、点検ボタンを押すか点検ひもを引っ張り、警報音や音声が出るか確認することで作動状態を簡単に確かめることができます。もしものときにきちんと作動するように日頃から点検を行っておくことをお勧めします。

大規模火災を未然に防ぐため

家庭に住宅用火災警報器を設置するよう勧める一方で、町内の事業所を訪問し、防火シャッターの動作や火災警報器の設置などを確認する検査も実施しています。立ち入り検査では、緊急時に使用する非常口付近に避難の邪魔になるものがないか、消火器の耐用年数が過ぎていないかなど検査を行い、是正すべき箇所がある場合は、事業者へ指導しています。特に多くの人が出入りする旅館やホテル、危険な化学薬品や油などを保有する工場で火災が発生した場合、被害が甚大となるおそれがあります。そのため事業所には、火災の被害を少しでも軽減できるよう徹底した指導を行っています。
 日々の訓練から緊急時の通報、そして火災予防の点まであらゆる面で菰野町を守っている菰野町消防本部。住民皆さんの生命、生活、財産を守るため、今日も24時間体制で活動を行っています。

 
All Rights Reserved.Copyright(c) Komono Town
各ページの記事、画像等の無断転載を禁じます。